軽井沢観光ガイド
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重要文化財旧三笠ホテル


 旧三笠ホテルは、日本郵船や明治製菓の重役を務めた実業家の山本直良(1870〜1945)が創業しました。この山本直良という人は、有名な音楽家・山本直純の祖父に当たる人です。あの懐かしい森永製菓のTVコマーシャル『大きいことはいいことだ』や映画『男はつらいよ』の主題歌の作曲者としても有名であり、テレビ『オーケストラがやってきた』などでも活躍した山本直純さんののおじいちゃんなんですね。

(2002年06月21日、指揮者山本直純氏が亡くなられました。業界では「彼が本気で音楽をやったら凄い指揮者になっただろう」といわれつつも、音楽の普及の方面で活躍した人で、テレビや映画音楽やコマーシャルソングや合唱など数々の名曲を残しています。興味有る方は、『森のうた―山本直純との芸大青春記−講談社文庫−岩城宏之著』をどうぞ。今では考えられないような信じられない実話に圧倒されます。孫も、おじいちんに負けず劣らずの大物です)

 明治37年、三笠山のふもとに土地25万坪を購入しする山本直良は、はじめは牧場を営むことを考えていましたが、土壌に問題があり断念しました。そこで定宿の万平ホテルの主人に知恵を借り、三笠ホテルを造ることを決意し、設計を欧米に学んだ岡田時太郎に、監督を、商売敵であるはずの万平ホテルの佐藤万平に頼みました。


 佐藤万平は、商売敵になるホテル建築の監督を引き受け、万平ホテルを建てた軽井沢一の棟梁小林代造を紹介します。明治37年(1904)にホテルの工事を始め、翌38年に竣工したもので、すべて日本人によってつくられています。つまり日本が日本人設計者と日本人の技によって作り上げた明治日本の建築技術の粋を集めた西洋建築様式の建物でした。


 ホテルの営業は明治39年(1906)5月に開始されました。電灯によるシャンデリア照明、英国製タイルを張った水洗便所、英国製のカーペットの採用など、当時の最先端・最高級の設備が整えられていました。驚くべき事は、客室30に対し定員は40人というところです。この割合には、驚嘆するしかないですが、見学に行けば、もっと驚くこと間違いないです。あの規模で定員40人というのは、現在、日本中のどこを探しても見つからないでしょう。第一、今の三笠ホテルは、当時の半分しか残ってないのです。


 そのうえプールもありました。明治39年のホテルにプールとは、本当に驚きますが、それよりも水洗トイレが完備していたことや、電灯によるシャンデリア照明を備えていたことにも驚かされます。

 また、軽井沢駅までの約2キロの道のりを黒塗りの馬車で送迎するなどのサービスもあり、その豪華さゆえ、渋沢栄一や団琢磨(旧三井財閥総帥)、住友吉左衛門(旧住友財閥総帥)、乃木希典将軍、近衛文麿、有島武郎、里見淳、清朝最後の皇帝溥儀といった名だたる顔ぶれが宿泊する、華やかな社交の舞台でした。人々は、この三笠ホテルを

『軽井沢の鹿鳴館』

と呼びました。それにしても、これだけ豪華だと三笠ホテルは、万平ホテルとは競合しなかったかもしれません。

 ちなみに創設者の山本直良の奥さんは、作家有島武郎の妹でした。そういううこともあって、三笠ホテルは白樺派のサロンとしても利用されました。また英国から取り寄せたすべての洋食器には、弟の画家有島生馬が絵付けを行いました。


 また山本直良は、ホテル業以外にも有島家と親交のあった当代の陶芸家宮川香山らを京都から招いて三笠焼を開窯。また、あけび細工や軽井沢彫りなど地元の工芸品を奨励販売しました。外国人宿泊者にも珍重され、これらの工芸品は、現在、軽井沢の貴重な郷土の宝となっています。ました。しかし、経営は赤字続きでホテルは大正14年に手放され、昭和45年にはホテルとしての営業に幕を下ろしました。なお、窯のために直良が植林した赤松が今も三笠一帯に残っています。


1905年に建築されて以来、政財界の要人・文人に愛され「軽井沢の鹿鳴館」と言われた木造純西洋式ホテル。1980年に国の重要文化財に指定される。設計からすべて日本人が行っている。

所在地/軽井沢町大字軽井沢1339−342
電 話/0267−45−8695(社会教育課)
      0267−42−7072(旧三笠ホテル)
開 館/9時〜17時(入館は16時半まで)
休 館/年末年始
入館料/大人400円 子供200円(共通券もあり)
古い情報もございますので、必ず最新情報を確認するようにしてください。

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