巨大ホテルや老舗旅館に囲まれた細い路地で、昔の温泉街の風情を残した遊技場やお土産屋が数件営業しています。スマートボールのお店へ入ってみた。額にキズのあるスキンヘッドのおじさんが、無表情でガラス玉をはじいているのが、場末のムードを盛り上げていた。スマートボールというのは、ガラス玉をはじいて釘の打ってある台の上をころがし、穴に入れると球が出てくる、という子供のパチンコみたいな遊びである。
「いらっしゃい! ここ、空いてるよ。荷物はこの上にのせて!」
昔の芸者風の威勢のいいおばさんは、段ボールをつぶした物を床に敷いて、荷物置き場を作ってくれた。300円を払い、台に付くと、ビー玉大のガラス玉をガラガラと流し込んでくれる。
スマートボールなんて子供の遊びだろう、と甘く見ていたのだが、これが、予想外に楽しいのだ。もう少しで入りそうなのに入らない。けれど時々はちゃんと入ってくれるのが嬉しい。何しろ、球が大きいので、出方も派手なのだ。同行のフクシマさんは、
「このじゃらじゃら感がたまらないのよね」
と目を輝かせている。